コウペンキンペン

ペンギン結社開発 公式

andorid版LINEスタンプ3Dモデル

ペンギン結社開発YoutubeTOP

肺体血流比(Qp/Qs)って何?概説と計算ツールの使い方。

※動画の解説文だけを見たい人のために、台本をアップしています。
ただし、必要に応じて改変していますので、細部は異なるかもしれません。
記載するのは図説などを含まないシンプルな文面だけです。図説などが必要な方は動画を参照してください。

次の動画 肺体血流比(Qp/Qs)を血液ガス分析で算出する計算法 へ

ツールはこちら
ペ:こんにちは。ペンギン先生です
コ:コシロです。
ペ:今回は、Qp/Qs計算ツールを作成したので、その紹介の動画となります。
コ:何でこのツールを作ったの?
ペ:理由はシンプルで、仕事で必要となったからです。せっかく作ったんだし、みんなが使えるようにして、使い方と原理を説明しようっていう感じだね。
コ:なるほど、確かにせっかく作ったんだもんね。ところで、Qp/Qsって何かな?
ペ:Qp/Qsは、専門用語では肺体血流比という。文字通り、肺の血流量と体の血流量の比のことだ。医学的に正確な図ではないが、心臓と肺の周りの循環はこんな感じになっている。人間の体は通常、大静脈からの血液が右心房に流れて、右心室に流れて、肺動脈に流れた後、肺を通って酸素を受け取ってから、肺静脈に流れて、左心房左心室を通って、大動脈から全身に血液が送られている。血液は、連続した流れになっているので、例えば大静脈から1分で5リットルの血液が流れてきたとしたら、肺動脈、肺静脈、大動脈を流れる血液の量は、大静脈と同じく、1分で5リットルになる。
コ:まあ、つながっているんだから当たり前だよね。
ペ:ところが、これがひとつながりではない場合、話が変わってしまうんだ。例えば、この部分は、右心室左心室の境目で、心室中隔というが、ここに穴が空いていると、多くの場合、左から右に血液が流れ込むことになる。すると、流れ込んだ血液が、肺の方に行ってしまうので、肺の血液量が多くなってしまうわけだ。例えば、心室中隔を通って1リットル血液が漏れると、肺には大静脈の分と漏れてきた分と、合わせて5+1=6リットルの血液が流れることになる。そして左心室に戻ってきた血液は、1リットルが漏れて、5リットルが体に流れるわけだね。すると、肺には6リットル、体には5リットル流れることになるから、Qp/Qsは6÷5=1.2となるわけだ。
コ:なるほど、確かに理屈はわかるけど、実際にはどうやって計算するのかな?
ペ:実臨床では、エコーを使って、右心室の出口と左心室の出口を見つけてから、速さの平均と断面積を測定することが多い。速さの平均がわかっていると、ある時間に、血液はこの円柱の形だけ進むわけだから、体積を求めればその時間に出てきた血液の量がわかるわけだね。あとは右心室から出てきた血液の体積を、左心室から出てきた血液の体積で割ればいい。
コ:少し複雑だけれど理屈はわかるね。
ペ:ただ、機材や手間の問題もあるし、手術中の測定などができない。そのため、今回は、血液ガス分析を行うだけで、Qp/Qsを計算できるツールを紹介します。
コ:なるほど。具体的にはどうするのかな?
ペ:細かい理屈は後回しにして、まずはツールの使い方を紹介しよう。まず、このツールを使うには、基本的に動脈ライン肺動脈カテーテルの挿入が必要だ。その上で、基本的に3か所から採血をする必要がある。1つ目は動脈ライン、2つ目は肺動脈カテーテルの側孔部分、3つめは肺動脈カテーテルの先端だ。動脈ラインはこの部分、肺動脈カテーテルの測孔はこの部分、先端はこの部分に位置するわけだ。つまり、測孔の部分からは大静脈血液ガスを、先端部分からは肺動脈血液ガスを見られるわけだ。
コ:合計3回血液ガス分析を行うということだね。
ペ:そして、ペンギン結社開発公式の、Qp/Qs計算ツールのページを開く。ページへのリンクは、このQRコードを読み込んでもいいし、概要欄にリンクを貼っているので、そちらから移動してもらっても構いません。このページにはツールが2つある。最低限のデータのみを入れる「簡易法」と、より多くのデータを入れるけれど、適用範囲と精度の高い「補正法」だ。「簡易法」はステップアップ法と呼ばれる方法で計算する。簡単だけれど条件によっては誤差が大きくなることがあるし、右心系→左心系へ血液が流れる場合には対応していない。「補正法」は酸素含量法(Oxygen content method)と呼ばれ、より厳密に酸素の溶解量を考慮したものだ。特に理由が無ければ「補正法」の方をお勧めします。
コ:なるほど、2つモードがあるんだね。
ペ:「簡易法」の場合は、それぞれの血液ガス分析SO2という項目があるので、それを入力する。動脈ラインからのデータは動脈血酸素飽和度のところに、スワンガンツカテーテルの測孔からのデータは中心静脈酸素飽和度のところに、スワンガンツカテーテルの先端からのデータは肺動脈血酸素飽和度のところに入力する。似た項目としてPaO2PO2というのがあるので、間違えてそちらを入力しないように気を付けてほしい。
コ:それぞれのSO2を入力すればいいんだね。
ペ:そう、数字を入力すれば自動で結果が産出される。
コ:なるほど、簡単だね。
ペ:そして、「補正法」の方は、少し入力データが多い。左心系→右心系に流れている場合には、同じように、動脈ライン、スワンガンツカテーテルの測孔、スワンガンツカテーテルの先端から、それぞれ血液ガス分析を行って、今度はSO2に加えて、PaO2(PO2)の値を入れていく。
コ:少し入力項目が増えるだけで、あまり手間も変わらないね。下の方に書いてあるのが今回の結果で、さらに下に書いているのが簡易法で計算した場合の結果かな?
ペ:そう、デフォルトの設定の場合、簡易法だと、1.40なのに、補正法だと1.39まで低下している。
コ:あんまり変わらないね。
ペ:そう、条件が整っている場合、簡易法でもかなり近似することができる。しかし、例えば純酸素を投与している前提で、動脈の酸素飽和度を100%、酸素分圧を500mmHgとしてみよう。
コ:簡易法で1.36、補正法で1.25、少し広がったね。
ペ:さらに、肺動脈の酸素飽和度を88%まで上げてみた。
コ:すると、簡易法で2.50、補正法で1.81になっているね。
ペ:そう、ここまでくると、誤差が大きくなっているのがわかると思う。このように、状況次第では誤差が大きくなることがあるんだ。入力データ数が増えるだけだし、場合によっては結果が大きく変わるので、特に理由が無いなら補正法にした方がいい。
コ:なるほど。
ペ:もし右心系→左心系に血液が流れている場合、つまりQp/Qsが1未満の場合も想定しているなら、さらに追加項目が出る。まず、先ほどの項目に加えて酸素濃度を入力する。麻酔器を使用している場合には、構造上、設定からずれることが多いので、可能なら麻酔モニターに書いてあるinO2を入力した方が誤差は小さくなる。
コ:より厳密にするなら麻酔モニターを見た方がいいということだね。
ペ:そして、動脈から採血したデータを2つ追加する。1つ目はPaCO2で、動脈血二酸化炭素分圧のところに入力する。次にHbまたはヘモグロビンと書いてある項目をヘモグロビン値に入力する。他にも項目はあるけれど、基本的に操作は不要だ。
コ:なるほど。
ペ:なお、この場合は、精度は落ちるけど肺動脈のデータを中心静脈で代用することができる。
コ:いいんだ?
ペ:右心系→左心系に血液が漏れている場合、静脈と右心房、右心室、肺動脈から左心系に漏れるだけなので、量が減るだけで成分は変わっていないよね?なので、肺動脈のデータを中心静脈で代用することができるんだ。
コ:つまり、右心系から左心系へのシャントを想定するなら、肺動脈のデータは中心静脈で代用できるわけだね。
ペ:そう、それぞれの項目に同じ値を入れればいい。なお、右心系→左心系のシャントの場合は、簡易法は対応していないので、補正法を用いることが必須になるから注意が必要だ。

ペ:さて、これで、ツールの使い方は理解してもらえたと思います。別動画で、このツールの計算方法と、より応用する使い方を紹介しますので、より深く理解したい方は、そちらを参照してください。
コ:今回「基本的に操作は不要」と言っていたところも操作できるようになるということかな?
ペ:理屈を細かく解説するので、それも可能になるでしょう。
コ:なるほど、また次回もよろしくね。
公式HPに戻る | ペンギン結社開発YoutubeTOP